おはようございます。
ふかつ動物病院スタッフ、看護師の深津です。
一雨ごとに、何となく夏の終わりを感じますね。
空が高くなっていたり、風が涼しくなっていたり。
真夏の頃はいつまでもこの暑さが続きそうでグッタリしていましたが、少しずつ過ごしやすくなってきました(^^)
皆さまお変わりございませんか?
さて今回は、ナメクジ駆除剤の中毒についてのお話です。
梅雨から夏にかけて、じめじめした季節にはよく見かけるナメクジ。
大切に育てている植物の茎や葉、そして花を食害されてしまうこともありますよね~(><)
当院でも、パンジーやビオラの花をかじられてボロボロにされ、悲しい思いをした事もあります。
そんな時に、庭の植物たちを守るために使用する「ナメクジ駆除剤」。
うちにもあるよ、という方もたくさんいらっしゃるかと思います。
ですがこれが、わんちゃん、ねこちゃんたちにとって、中毒症状を引き起こす薬剤が入っていることがあるのをご存知ですか?
ナメクジやカタツムリの駆除剤に使われる主成分には、大きく分けて「燐酸第二鉄」と「メタルアルデヒド」の2種類があります。
燐酸第二鉄は、動物への強い影響はありません。
ですが、「メタルアルデヒド」は中毒成分なので注意が必要です。
ですので「ナメクジ駆除剤を食べてしまった!」という場合、どの成分が入っているのかが重要になってきます。
メタルアルデヒドは胃腸からの吸収率が高いです。
吸収後、胃の中でアルデヒドや酸へ変化します。
摂取して1~3時間以内に、よだれなどの軽い場合から嘔吐、下痢、血圧下降、頻脈、呼吸抑制、高熱に加えて、痙攣などの重篤な症状まで引き起こします。
致死量はさまざまな説があるようですが、わんちゃんもねこちゃんも体重1kgあたり10mg以上を摂取すると非常に危険だと言われています。
上記のナメクジ駆除剤を見ていただくと、左上に6%のメタルアルデヒドが入っているという記載がありますね。
(青い波線をひいている所です)
つまり1gの駆除剤の中に60mgのメタルアルデヒドが含まれている計算になり、この1gという量は6kgのわんちゃん、ねこちゃんの致死量なんです。
1gがどれくらいの量かというと・・・
↑たったこれだけです。
ほんの少しの量ですよね。
これは致死量ですので、中毒症状を起こす中毒量はさらに少ない量になります。
わんちゃん、ねこちゃんが間違って口にしないよう注意が必要ですが、もしも食べてしまった場合には、身体に入ってしまったメタルアルデヒドに対する治療をしなくてはいけません。
メタルアルデヒドには解毒剤がありません。
なので点滴をして、できるだけ早く身体の外に出す(尿中に中毒物質を出す)ことが大切になってきます。
お外に出るねこちゃんや、お散歩で拾い食いをしてしまうクセがあるわんちゃんは特に気を付けて下さい。
そしてご家庭で使われるナメクジ駆除剤は、比較的無害な「燐酸第二鉄」を主成分とするものを使用しましょう。
涼しくなってきましたが、まだまだナメクジ・カタツムリが多い時期です。
どうぞお気を付け下さい。